ノアフェスのメタり方
半年以上ぶりにブログを書いたと思ったらこんなクソイキリタイトルで本当に申し訳ない。
もっと調子に乗ったビジネス書みたいなタイトルにしようかなとも思ったんですが心が死にそうになったのでちょっと調子に乗るくらいに留めました。
8/28:
一部文章を改変しました。
8/30:
修正・追記しました。
この記事は何なの?
8/26、27と、ノアフェス.2というイベントに参加してきました。
ざっくり言えば「16時間でノベルゲームかアドベンチャーゲームを作る」という形式のゲームジャムになります。
まあ色々と説明を省きますがランダムマッチングでチームを作る枠で申し込みをしまして、 「闇鍋傭兵部隊」 という名前のチームとして殴り込みをかけました。
基本的にチーム参加の方が連携が取りやすく有利であると言われていたのです……が!
非常にありがたいことに我々のゲーム『想い出のナツハナビ』が総合部門賞を受賞しました!!!!!!!!!
愛想もクソもないクソみたいなコメントである総合部門賞頂きました
— めのー(瑪瑙連翹) (@OnyxGoldenbells) 2018年8月26日
ノアフェスをメタったゲーム制作が実を結びました#ノアフェス
ちなみに私はプログラマ&男性声優としての参加です。
最終制作発表会での様子はこちらから見られます↓
で。
チームのみんなとはオンラインで打ち会わせをしつつ練り上げたそうで、初対面がノアフェス会場…だそうで…アレを見ちゃうとにわかに信じられないんで、制作手記をなんとしてもですね…(ぱたり#ノアフェス
— ほりい なおき (@hor11) 2018年8月26日
審査員をされていた有限会社エムツーの堀井直樹さんがレポートをめっちゃ熱望されていましたのでこれは書かねばということでとりあえずざっくり書いてはみたんですけれども、なんというか制作手記とかというよりは「ノアフェスにおける方法論」みたいな感じになってしまってですね……。
まあ他のメンバーさんがいい感じに制作手記っぽいもの書いてくれるでしょ!(全丸投げ
みたいな気持ちでこのまま行くことにしました。 そんな感じです。
今回ノアフェスに参加された方や、今後ノアフェスに参加してみたい! という方にとって何か役立つ情報があれば幸いです。
注意事項
可能な限り一般的な話をするようにしますが、多分にプログラマ視点&個人の主観が含まれます。
この通りにやれば全て上手く行く、といったお話では当然ありません。一番大事なのは人数や人員、目標に合わせて考えることです。
これらの文章は私個人の意見であり、他の一切の個人や団体の意見とは全く関係ありません。
TL; DR(とりあえず長いんでまとめました、の意)
その場に合わせた目標設定が大切
開発において最も重要なのは概形を最初に作ってしまうこと
デバッグ時間は長く取れるに越したことはない
Gitはいいぞ。
本番前に行っていたこと
6月末、個人参加チームとしてチャットワークに集められましたが、チャットワークは若干不便。
ボイスチャットで企画会議できる場があるといいね、ということでDiscordのサーバーを作成し、それ以降チーム内でのやり取りは基本的に全てDiscord上で行っていました。
あとは原則週に一回(直前の週は若干回数が増えていましたが)ボイスチャットでオンラインミーティングを行って企画会議、という感じです。
最終的に、本番までに以下の準備ができました。
シナリオ全文
使用する音楽全て
絵の構図決定
使用するエンジンの選定
(ざっくりと)それぞれの場面でどんな演出をするのか
目標設定について
ある意味「本番前に行っていたこと」にはなるのですが、ここは我々のチームの意識が明確に出る部分だと思ったので別項目に。
我々の目標は「ノアフェスという場でゲームを作ること」ではなく、「二日間で、ノアフェスの発表会で魅せるためにまとめ上げたゲームを作ること」でした。
これについて、もう一人のプログラマであるタクさんが端的に表してくれています。
ノアフェスって
— タク@音ゲーエンジョイ勢 (@takuimrr) 2018年8月26日
「ノベルゲームを作るイベント」
ではなくて
「『2日間』で『10分』のノベルゲームを『魅せる』イベント」
なんよね
この『』を意識するかがカギ(偉そう)#ノアフェス
要するに、ノアフェスで作ったゲームの評価というのは発表会で見せたものを基準にしか行われないのです。
「ゲームを作ること」を目標にしているのならともかく、「ノアフェスの発表会において魅せること」を目標にするのであれば、発表会で見せられる以上の分量を作ったとしても残念ながらそれは無駄になってしまいかねないのです。
特に、今回の発表会を見ていて私がすごく残念に思ったことがあります。
発表会でテキストスキップしてるチーム多すぎ。
どれだけ良いシナリオを作ったとしても、どれだけ気合の入った絵を書いたとしても、どれだけ素敵なボイスを収録したとしても。
テキストスキップしてしまってはそれらの魅力がきちんと伝わらないのです。
これはゲーム自体がバグで動かなかったり、長すぎて発表打ち切りになってしまった場合も同様です。
ゲームを作ることそれ自体が当然大変なことですし、せっかくの機会に色々とやりたくなる気持ちも分かるのですが、その魅力を伝える場でそれが伝えられないのは非常に残念なことだなあ、と私は思いました。
今回、闇鍋傭兵部隊が総合部門賞を頂けたのはこの目標設定がノアフェスという場において最適化されたものだったというのはかなり大きな要因だと考えています。
同様に、オリジナリティ賞を受賞された極東のみかんさんはノアフェスの発表会内できっちり魅せるゲームづくりをされていると感じました。(というかあのチームプロ揃いでずるくありません?(エンジンの作者持ってくるのはめっちゃずるくありません?(そもそもオリジナリティ強すぎてノベルゲーじゃないように見えたんですがレギュレーション違反じゃありません?
そんな極東のみかんさんの最終制作発表での様子はこちらから↓
制作における心がけ的なこと
ほとんど主観になってしまうので、合わないなとか間違ってるなと思ったら「なんやこいつ」くらいの気持ちでスルーしてください。
・全体的なお話
短期間でプロダクトを制作するに当たって、最優先でやるべきことは
「詳細部分は仮でも良いので、全体の土台(概形)をまず作成すること」
です。
特にノアフェスのようなゲームジャムにおいて、制作期間内で使うことができる人的リソース及び時間はどうあがいても固定されています(ルール違反しない限りは)。
リソースが有限である以上、それらのリソースをどう配分するか、という点が非常に重要になります。
とはいえ、何もない状態から適切にリソースを配分して一から制作を行うのは難しい……というかほぼ無理です。
そこで、まず全体の土台を作ってからそれぞれの部分を作り込んでいくというやり方がおすすめです。
これによるメリットは大きく二つあります。
全体像が見えるので、リソース配分がやりやすい
仮にリソース配分をミスって作り込めていない部分が出たとしても、とりあえず動く
特に短期間における制作ではこれらのメリットの影響は非常に大きいです。
ディレクションをする立場の場合は、「特定の作業だけに力が入ってしまって他にやるべき作業を後回しにしていないか」を重点的に確認していくと良いと思います。
作業しているとどうしても時間を忘れて熱中してしまうことがあるので。
まあちなみに、納期における制作物の評価としては
クオリティの高い完成物>クオリティの低い完成物>>>【越えられない壁】>>>素材のクオリティは高いけど完成していない物
というのが一般的だと思います。
完成すれば、それだけで一定の評価が得られるのです。そのメリットを享受しない理由はありません。
・シナリオのお話
自分はシナリオ担当ではありませんでしたが、一応。
シナリオに関してですが、
「不必要な要素は捨てるべき」
というのは念頭に置いて作成すべきだと感じました。
もちろんこれは普段から意識すべき点ではあると思いますが、ノアフェスのように発表時間が決まっている形式の場合には特に顕著ですね。
前述のように、長いこと書いても結局スキップしたり打ち切られたりするので。
といっても何が必要で何が不必要かというのは結構難しいですね。
「その物語を伝えるためのあらすじを説明する上で必要かどうか」というのはそこそこ分かりやすい基準かな……? と思います。
まあ自分はシナリオ案出したけど投票で負けて採用されなかった雑魚なのであんまり偉そうなことは言えないですが。
・プログラムのお話
※職業プログラマとしての主観がかなり入っています! 不快に思うことがあったら読み飛ばした方がお互いに得だと思います!!!
ゲームプログラムにおいて最も重要なことはたった一つです。
「動くゲームを作ること」
これに尽きます。
「クオリティの高い物を作る」だとか「挑戦的なことをする」だとかは二の次で、そもそも前述した通り、動かないもの(=未完成品)の時点でいくらプログラムのクオリティが高かろうが評価が完成品を上回ることはありませんし、ゲームが動かなければ挑戦できるフィールド自体が消滅します。
(特に後者、「挑戦的なこと」というのは日常、継続的な学習をしている内にやっておくべきことだと思います。面倒なのでここで詳しいことは書きませんが)
ゲームが動かなければ、当然用意したものが何も見せられないということになります。
他のメンバーが用意したシナリオもグラフィックもサウンドも、何も伝わりません。
厳しいことを言ってしまえば、「バグが発生して動きませんでした☆」は他のメンバーの時間・労力を無為にするということです。切腹案件です。
ということで、ハラキリしないで済むようにするためにも、デバッグ(ここで言うデバッグはプログラム自体もそうですが、絵や演出、サウンドが想定通りになっているかどうかも含みます)の時間は長めに取っておきましょう。
個人的な感覚にはなりますが、全体の三分の一くらいをデバッグに充てられるとかなり安心感があります。
ちなみに闇鍋傭兵部隊では二日目の制作時間(6時間)はほぼデバッグに充てていました。
・Gitのお話
Gitはいいぞ。
あ、待って、プログラマじゃないからいいやってスルーしないで。
"Git"というのを知らない方のためにめちゃくちゃざっっっっっくり説明しますと、
「ファイルと、そのバージョンを共有で管理してくれるスゴイ級便利ツール」
です。
Gitはいいぞ。Gitがなければ生きていけない身体にしてやる。
ディレクションしている人は「Gitってめっちゃ便利らしいから使ってみたら?」ってプログラマに提案してみましょう。
Gitってよく分からないし難しそうだし怖い……と思っている方は『こわくないGit』というスライドを見てみることをおすすめします。とても面白く分かりやすく解説してくださっています。
さて、ここからはGitのことをある程度知っている方向けのお話をします。
とりあえず、エンジン的にGitが使えるのであれば積極的に使っていきましょう。
ノベルゲームエンジンにはあまり詳しくないのでどんなエンジンなら使えるかといった具体例はちょっと挙げられないのですが、都度バイナリ作ってしまうようなエンジン(そんなのあるのか……?)でなければ基本的にいけるはずです。
二人以上であれば、共有の手間・時間短縮、共有漏れやハード破損(によるデータ吹っ飛び)のリスク低減など、メリットが大きすぎて使わない理由がありません。
一人であっても、作業の管理に使えること、変更履歴が手軽に見られてデバッグに有用であること、バックアップにもなることなどから使うメリットは十分に大きいと思います。
可能であればグラフィック班やサウンド班にも使ってもらいましょう。その方が素材入れ替えの手間が省けます。(当然、無理して使わせる必要はないですが)
プラットフォームは安定のGitHubが良いでしょう。無料ですし安定しています。
GitクライアントはSourceTreeがGUIかつ手軽なのでおすすめです。(個人的にコンソールでGit使ってる方がかっこいいとは思いますが、それはそれとして)
私は共有のプロダクトに関して私個人のアカウントでリポジトリ持つのがなんとなく嫌なので、Organizationを作ってチームのリポジトリで管理することにしていますが、特にそういうことを気にしない場合は誰かのアカウントで直接リポジトリを作っても良いと思います。
結論:Gitはいいぞ。
・声のお話
出来るわけねえだろこちとらズブの素人やぞ!!!!!!!!!
声優さんってしゅごい。
・その他、細かいお話
まあ今さら言う話ではないんですが一応。
体調管理……というか、睡眠管理は基本中の基本です。
誰か一人でも睡眠不足でパフォーマンスが落ちてしまえば、その時点でチーム全体の作業が滞ってしまう可能性すらあります。
寝られる時にちゃんと寝ましょう。
懇親会
懇親会は発表会が終わったあとの立食パーティーなのですが、それも含めてノアフェスだと思います。
メタるなら懇親会も含めてメタりましょう!
・ハンドルネームの名刺を用意しよう
なんというか、これは個人的な反省点。ちゃんと用意しておけば良かったなあ、と。
一応ハンドルネームで参加している場なので、Twitterアカウントとか手軽に交換できないのがちょっと困りました。
最終的に開き直って仕事用の名刺にアカウント名手書きして渡してました。笑
・リアルの名刺も用意しよう
いくらハンドルネームでの参加とはいえ、もしかするとお仕事で繋がりを持ったりするかもしれない相手がいるかもしれません。
そういった場合に備えてリアルネームが書かれた名刺も持っておくと良いかな、と思いました。
・色んな人に話しかけよう
小学生に対するアドバイスかな? と若干思わなくもないですが、大事なことですね。
ノアフェスという場、言うまでもなく色々な方が参加されています。
色々な業界の方がいらっしゃいますが、やはりというかなんというか、特にゲーム業界の方が多いです。
繋がりを持ちたい方は積極的に媚を売って話しかけていきましょう!
自分の所属チームと役割を明かして、相手も参加者であれば向こうの所属チームと役割も聞いてみましょう。あとはゲームの感想を言ってみたり、相手のチームがどんな風に制作されていたのか尋ねてみたり。それで大体の場合はちゃんと話題作りになります。
私はクソ適当な人間なのでめちゃくちゃ適当に色んな方に話しかけたりしていました。
・余裕があればスタッフさんに感謝の気持ちを伝えておこう
スタッフさんあってのイベントです。感謝&感謝。
おわりに
懇親会の項目は割と力尽きて若干適当になってしまいましたが、書きたいことは概ね書けたと思います。
何かご意見・ご質問等あれば投げつけてやってください。
こちらの記事にコメントするよりTwitterでリプライなりDMなり飛ばしていただく方が確実に反応できると思います。ブログの存在意義が疑われる
こんな無駄に長い記事を最後まで読んでいただいてありがとうございます。
あなたのノアフェスライフに幸あらんことを。
次のノアフェス.3は大阪での開催になるようです。 幸いにも実家が関西なので、抽選に外れさえしなければぜひ参加したいと考えています。 会うことがありましたらよろしくしてやってください。
ノアフェス3 pic.twitter.com/OMNuSFXOXT
— めのー(瑪瑙連翹) (@OnyxGoldenbells) 2018年8月27日